スタートアップこそ社労士を活用すべき理由

リソースが限られる立ち上げ期こそ人事労務手続が重要

📣スタートアップと言ってもステージは様々ですが、ここでは会社の立ち上げ期、従業員数でいうと0人〜10人程度の規模感をメインに想定しています。
(シード〜アーリーステージ🌱)



会社の立ち上げ期から社労士を活用する会社は決して多くはありません。
限られたリソースの中で、会計経理はともかく、人事労務に関する部分は専門家に報酬を払って委託しようとはなかなか決断しにくいのではないでしょうか。

しかし、立ち上げ期にこそ、社労士を上手く活用することで、リソースを最大限に活かすことができるのも事実です。

スタートアップにとっては、チームメンバー(従業員)の存在が非常に重要です。
人事労務関連の手続きを正しく行うことは、会社と従業員との間の信頼関係の前提となります。チーム一丸となってプロダクトを作っていく上で、決しておろそかにすることはできません。

また、会社を成長させていくにあたっては、新しい人を採用するというプロセスが必ず発生します。働きやすい環境の整備はより良いメンバーを獲得することに繋がりますし、助成金を正しく活用することで、「人材獲得」にかけられるバジェットを増やすことができます。


社労士を上手に活用し、よりよいチーム作りに繋げるために、そもそも何を行わなければならないのかを記しました。

⓪全体像をイメージしましょう

スタートアップの労務マップ

労務が重要とは言っても、そもそもどのようなイベントが発生するのか、都度、どのような手続きを行わなければならないのか、全くイメージがつかない場合も多いと思います。

そこで、少し規模が大きくなるまでの段階において、少しでもイメージがつきやすいように、このような図をお示ししています。

(ファイルがダウンロードできるようになっているので、是非ご活用ください。)

手続きの詳細については割愛しておりますので、専門家に相談するきっかけを見逃さないように、というような形で使っていただけたらと思います。

①労働保険・社会保険の手続き

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会社を設立したら、社長1人であっても、社会保険への加入が義務付けられています。

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また、従業員を1人でも雇用した段階から、労働保険への加入が義務付けられています。


社会保険は、日常生活に直結する健康保険や、定年後に受給する年金額に反映される厚生年金保険など、従業員にとって影響の大きいものです。

労働保険は、業務中あるいは通勤中に起きた事故に対して保障が行われる労災保険や、失業の際に給付が受けられる雇用保険など、同じく従業員にとって重要です。

それぞれ、年金事務所、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)に必要書類を提出する必要がありますが、手続きをもれなく正確に行うのは、基本知識がない場合には意外と大変です。
(また、場所や時間によっては混雑しており時間がかかるケースもあります。)

各種手続きは紙ではなく電子申請を行うこともできますが、現在では、会社自身が電子証明書を取得するのにそれなりの費用がかかるため、手続きがさほど多くない局面では得策ではありません。


社労士に丸ごと依頼することで、スムーズかつ正確に社会保険・労働保険の手続きを進めることができます。

②労働法の基礎知識

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一人でも人を雇用する場合、労働基準法を守ることは事業主の義務です。

労働保険の届出に加えて、1日8時間、1週40時間を超える時間外労働が発生する場合には、通称「36協定」と呼ばれる労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。

雇用契約を締結するにあたっては、労働契約の期間(期間の定めがあるかないか)や賃金の決め方、退職に関する事項など、必要事項を雇用契約書に記載して労働者に通知する必要があります。

就業規則がない場合には、雇用契約書の内容が、従業員との間において労働条件を定める唯一の取り決めとなります。従業員が会社をやめる際に、取り決めがないことでトラブルに発展したり、会社にとっては痛手を受ける結果となる場合もあります。

また、
就業規則は、新規作成の際には、従業員の「意見を聞く」だけで良いですが、一度作成した後に、従業員にとって不利益となる変更を加える場合は、意見を聞くだけでは足りません。
そのため、従業員が10名以上になって作成義務が生じたから、インターネットで見つけたテンプレートをそのまま作って届け出る、というようなことは危険ですし、ほとんど意味をなさないこともあります。

ベンチャー、スタートアップでは、従業員との間で固定残業代制裁量労働制での雇用契約を締結している例が多いですが、同制度導入の要件を満たさないまま運用しているケースも非常に多いです。

そのほかにも、従業員の方が仕事中に怪我や病気になったら、産休や育休に入ることになったら…など、知識をつけておくことは、従業員のためにも、会社を守るためにも、必須と言えるでしょう。

日頃から信頼して相談できる社労士などの専門家がいることで、こうしたことをあらかじめ想定し、対応しておくことができます。

③給与計算の正確性担保・手間の削減

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割増賃金の計算や、給与から控除する項目など、正確な給与計算を行うには、手間時間がかかります。従業員が急増するような急成長している会社にとっては、尚更でしょう。

残業代の計算などを誤っており、未払い賃金が発生していると、退職後のトラブルにつながりかねません。また、未払い賃金の有無はIPOの際の重要なポイントともなります。

(現在では、未払い賃金の消滅時効は2年ですが、民法改正に伴い、5年に拡大する可能性があります。)

労働時間や賃金の専門家である社労士にアウトソースすることで、会社の成長のために時間を割くことができ、後のトラブルを防ぐことが可能です。

④助成金の活用

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従業員を雇用すると労働保険に加入することになり、労働保険料を納めます。
この労働保険料を原資として、厚生労働省が助成金を支給しています。

助成金は、労働者の雇用の安定能力の開発などのために会社が行う施策に対して支給されるものです。

つまり、労働保険に加入しているのであれば、労働環境を整えた上で、助成金を正しく活用することが、会社にとっても従業員にとってもメリットがあります。

そのためには、雇用環境を整えること、そして、助成金の支給要件を満たすことが必要です。助成金には様々な種類があり、要件や募集時期もそれぞれ異なります。
タイムリーに情報提供できる社労士と連絡を取り合うことで、そうした情報にキャッチアップしやすくなります。


例えば、
スタートアップでも活用しやすい助成金の一つとして、
キャリアアップ助成金(正社員化コース)が挙げられます。

簡単に言うと、当初期間の定めのある契約(6ヶ月以上)で雇い入れた従業員を、期間満了時に期間の定めのない契約に転換した場合に、転換時から6ヶ月後(つまり、雇入れから1年後)に助成金を支給します、というものです。

(単純化してご説明しましたが、ほかにも細かい要件等がありますので、正確な情報は厚生労働省のHPをご参照ください。申請にあたっては計画の策定などが必要です。)

助成金額は以下のようになっています。(平成31年4月1日現在、厚生労働省HPより)

  1. 有期 → 正規:1人当たり57万円<72万円>
  2. 有期 → 無期:1人当たり28万5,000円<36万円>
  3. 無期 → 正規:1人当たり28万5,000円<36万円>

※①~③合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで
※< >は生産性の向上が認められる場合の額

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社会保険労務士事務所ヨルベ