外国人労働者雇用の基礎知識

外国人労働者雇用管理指針

社会保険労務士事務所エベレストは東京都港区の社労士事務所です


外国人労働者の方を雇用するにあたっては、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(外国人雇用管理指針)を一読しておきましょう。

指針の基本的な考え方は、次の2点です。この2点については、大原則として意識しておく必要があります。


👉労働関係法令・社会保険関係法令は国籍にかかわらず適用されるため、遵守すること

👉外国人労働者が適切な労働条件および安全衛生の下、在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ働けるように、指針で定める事項について適切な措置を講ずること



事業主が努めるべきとされている事項として、次のような項目が挙げられています。

  1. 外国人労働者の募集および採用の適正化
  2. 適正な労働条件の確保
  3. 安全衛生の確保
  4. 労働・社会保険の適用等
  5. 適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等
  6. 解雇等の予防および再就職の援助
  7. 労働者派遣または請負を行う事業主にかかる留意事項



また、外国人労働者を常時10名以上雇用する場合、「雇用労務責任者」を選任する必要があります。通常、人事課長等を選任します。届出等は必要ありません。

外国人雇用状況の届出

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外国人労働者を雇い入れた際と、外国人労働者が離職した際には、公共職業安定所に対して届出を行わなければなりません。

届出事項は、

①氏名
②在留資格
③在留期間
④生年月日
⑤性別
⑥国籍・地域
⑦資格外活動許可の有無
⑧雇入れにかかる事業所の名称および所在地など、雇用保険被保険者資格取得届に記載が必要な事項

です。(⑦は雇入れ時のみ。)

当該外国人労働者が雇用保険の被保険者となる場合、雇用保険にかかる手続きと同時に行うことができます。
雇用保険の被保険者とならない場合については、「様式第3号」に上記の事項を記載して提出します。(届出期限は、雇入れ・離職の場合いずれも翌月末日までです。)

脱退一時金について

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社会保険は国籍にかかわらず適用されますが、外国人労働者の方の中には、給料から社会保険料が差し引かれるのを嫌う方もいらっしゃいます。
制度の趣旨について、しっかりと説明することが大切ですが、特に押さえておかなければならないのが、「脱退一時金」の制度です。

脱退一時金とは、日本国籍を有しない方が6ヶ月以上日本で働き、帰国した際に支給されます。(帰国後2年以内に請求)

厚生年金保険・国民年金の老齢年金を受給するためには、10年間の受給資格期間が必要ですが、それを満たせない場合に、納めた分の保険料を返還する仕組みがこの脱退一時金制度です。

ここで、相手国によっては、「年金通算協定」を結んでいる場合があり、注意が必要です。年金通算協定とは、二国間の年金制度の加入期間を通算し、年金加入期間を満たした場合には、それぞれの国の加入期間に応じた年金が、それぞれの国から支給されるというものです。
この「年金通算協定」を締結しているのは、現在、

ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン

の16ヶ国です。

脱退一時金の支給を受けた期間については、「年金加入期間」ではなくなります。

そのため、上記の国の方については、通算して将来年金として受給するか、脱退一時金として受け取るか、のいずれかをご自身で選択することになります。

原則として、労働者の方が帰国した後に申請し、本国の本人名義の口座に海外送金されます。その際、非居住者にかかる源泉徴収所得税(20.42%)が控除されます。


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